自分でもよくわからないのだけれど、どうしても花音ちゃんを追い掛けなくてはならないような気がしていた。

商店街の出口で、花音ちゃんは走るのを辞めた。

「よかったじゃない。チョコ、作ってあげたら」

何でそんなこと言うんだろう。私は答えた。

「別に好きじゃないもの」

花音ちゃんは振り向かなかった。

「もう花音ちゃんて呼ばないで」


それからのことはよく覚えていない。

結局私達は一緒に帰らなかったし、花音ちゃんは私の家でチョコを作らなかった。

それだけははっきりしている。