思わずまた彼女を見た。 彼女は相変わらず水槽を見つめたままで、その表情はいたって真面目だ。 少なくとも、こんな御伽噺をするのに不釣合いな程度には。 「そりゃ……百年とか向こうにいる間に経ってたんだし、そうなんじゃないかな」 というか、三年も竜宮城に行ったきり帰らなかった時点で捜索願ものだ。 「ふうん」 自分で話題を振っておきながら、海砂は気のない返事をした。