血走った真紅の瞳、口には剥き出している鋭い『牙』。

これが――『ヴァンパイア』になった流偉の姿。
初めて見る様子に私は息を呑んだ。

手が自然と震えている。

怯えているの?


「流偉……」


「ガルルルルゥゥゥゥ」

まるで獣のような声を上げソイルを睨みつける。
自分で『ヴァンパイア』の力がコントロールできないの?

「行くぞ!!ソイル!!」

今までとは別人だ。
私は『ヴァンパイア』の力を見くびっていたのかもしれない。



「うぁぁぁぁぁ~っっ!!」

「お前の血はまずいな」

「俺がこんなヤツに……負けるなん……て」

ソイルの姿は消滅した。

残るは――。

「お前の血だ」


「……流偉?」
彼は芽実に襲いかかる。
その牙には生々しい血が残っている。
滴り落ちる赤。

「私の血がほしいんでしょ。あげる、流偉にならあげてもいいよ」

首に突き刺さる尖った牙。

「……私のせいだ。ごめん……ね」

トクトク……。
彼女の首筋から静かに流れる真っ赤な血。

そして、
瞳に光る一粒の『涙』――。


『流偉っっ!!』


「……俺は……一体……めっ芽実??芽実~っっっ!!!!」