雨もいつしか止み、辺りはシーンと静まり返っていた。

私が一人で夜道を歩いていればきっとあいつは現れるわ!
さっきから騒がしく飛んでいるコウモリたちがその証拠。
どうせ私たちの動きを監視しているんでしょ。
今なら絶好の勝機よ。

「さぁ!!出てきなさい!!ソイル!!」

突然強い風が吹いた。
飛ばされそうになりながらも芽実は必至でこらえていた。

「フフフ……元気のいいお嬢さんだ」

この声は。

「ソイル!!」

「お望み通りお前の血を一滴残らず吸い尽くしてやる……」

「誰があんたなんかの餌食になるもんですかっ!!べーだっっ!!」

「口だけは達者なようだな……ならば」

瞬きをする間もなくその一瞬の出来事だった。
彼の手が私の頬に触れると、そのままぐいっと手首を強く掴まれ引き寄せられた。

「いっ……いやぁ!!」

やばい!そう思った時にはもう全てが遅かった……。

優しく触れ合う口唇と口唇。
とても冷たくてひんやりとした感触。

これは『kiss』……。

拒む暇もなく起こっているべきことを把握するだけで手一杯。
このまま舌を噛んで死んでやるっ!

そう思った矢先の出来事である。
突然、彼の口唇が離れそこにある牙が剥き出しになり、その体制まま私の首筋目掛けて突き刺さろうとしていた。


流偉!!助けて~っ!!


「やっと見つけたぜ!!芽実から離れろ!この悪魔!!」

恐怖で一度閉じた目をゆっくりと開けるとそこには彼が居た。