「芽実、行こう!ミッションスタートだ!」

「あ……うん」

過去から現在に引き戻されハッとする。
私は返事をすると彼の後を追いかけるように走り出した。


また恭子のこと思い出していた――。

雨。

そして──どこまで続く夜の闇。

流れる真紅の鮮血。


脳裏に浮かぶこれらの単語、あんな惨劇は二度と御免だ。
もう誰の涙も見たくないから。



「今日こそ絶対に仕留めてみせるわ!流偉、分析を開始して」

「OK」

ノートパソコンを広げてキーを素早くたたき始める。

「どう?」

「う~ん。この辺りには間違いないんだけど……」

画面を見ながら彼は難しい顔をしてる。
指を差したその位置に微量のヴァンパイア反応。

「雨のせいなの?」

「恐らく。電波がうまくキャッチできなくなっているらしい。こうなったら……」

「?」

「あとは機械に頼らず自分の勘を信じろってな」

解析を止めパソコンを閉じると流偉は走り出した。

「勘?!それについて根拠はあるの?」

「いいや。無いっ!」

あのね~っ!
でも絶対何かあるハズよ……!あいつを誘き出す方法が。

「!」
ちょっと危険かもしれないけど……今はこれしかない!