あたしと彼のオトナな契約




「よく考えれば……」


「あぁ。 ただの幼なじみだった」


「じゃあ…よく考えなかったら…?」


「…あ……?」


「よく考えれば幼なじみだったんでしょ? じゃあ…よく考えなかったら?」



あたしがそう言ったところで、スーパーの駐車場に車が止まった。


晋也さんは車から降りずに、ハンドルを人差し指でトントンと叩く。



「……幼なじみだよ…」


そして、ゆっくりと口を開いた。


「よく考えても、よく考えなくても、アイツとはただの幼なじみだった」


「……うん」


「それ以上でも、それ以下でもねぇ。 アイツにとって、俺はそんな存在だった」



そう言ってドアに手をかけ、車を降りる晋也さんを慌てて追った。