信号が赤になり、ゆっくりと車が止まる。 「なー、腹へった」 「そーだねー。 何にするー?」 窓の外を見たまま答えると、晋也さんが身を乗り出してあたしの顎をつかんだ。 そしてゆっくりと深いキスをする。 「ん……」 プーッ プップップーッ いきなり後ろから聞こえたクラクションに、あたしはビクッと肩を震わす。 「何だ、もう青になったの」 抑揚もなくそう言うと、晋也さんは何事もなかったかのように さっきみたいに車を再び発進させた。