「あっ! 那奈ちゃん!」
薪置き場にもうすぐで着くというところで、あたしは果奈さんに呼び止められた。
「さっき、晋也が探してた。 なんか、調理道具の確認の報告だって。 当番だよね?」
「あ、ハイ。 これ終わったら、行こうとしてたとこです。ありがとうございます」
あたしは、なるべくバレないように苦笑いを浮かべる。
今頃、弘明は晋也さんに報告行ってくれたかな。
あ、そう。 と果奈さんが去るのと同時に、あたしは大きなため息をついた。
何でか、なんて
そんなのよく分からないけど、今は晋也さんに会いたくない。
会ったら、泣いちゃいそうだよ。
あたしは歪んでゆく地面を、瞬きをせずに見つめた。
「あ、いた。」

