…秘密? 『……“楓”って、伊川君の何なんだろうね?』 何も言えなくなった。 ガタン、と椅子を引く音がして、 固まった私に男は一歩ずつ近寄ってくる。 な、んで… その表情はあの懐っこい笑顔のままだった。 『いま何でって思った?…さて、どうしてでしょう?』 『……』 『1、伊川君が好きだから…2、樺乃ちゃんが好きだから、』 もう聞かない方がいいと思うのに、足が全然動かない。 『3…、 “楓”を知ってるから』 ドクン、と心臓が一際大きく跳ねた。