The Last Lie


思わず、えっ?!って突っ込みそうになった。
告白された後ってもっとなんかあるんじゃないの?!
ありがとうとか、ごめんねとか、少なくとも終わり?って聞く奴はそうはいないと思うんだけど。

不安と困惑が限界になったのか、女の子の目からは今にも涙が零れそう。

…なんでか私が胸が痛い。

戸惑って何も言えずにいる女の子に柚杞は軽くため息をついた。

普通彼女なら私以外に優しくなくて良かった、とか思うのかもだけど。
頑張っても好きな人に届かない辛さはよく解るから、

『悪ぃけど、俺アンタに興味無いから』

やっぱり私は胸が痛む。
私が言われた訳じゃないのに胸が苦しい。

柚杞の一言にいよいよ零れだした涙が女の子の頬を伝う。振られるにしてもこんな風に言われるとは思ってなかったのかもしれない。

柚杞はやっと終わったとでも言いたそうな感じで、ダルそうにその場から離れていく。

柚杞の告白され現場を見たのは初めてじゃないけど、内容まで聞いてしまったのは初めてだ。

私達が付き合ってる事は別に隠してる訳じゃないし、知っている人もいる。
でも校内で常に一緒にいるわけじゃないし、お互い誰かに聞かれなければ言わないタイプ。
付き合い始めた一年の時に噂になった程度だから、噂を知らない在校生や新入生は知らずに告白してくる。


『…伊川くん、一刀両断て感じね』

感心したような驚いたような声で言う麗に、いつの間にか私の隣に来ていた香汰くんが、

『今のは、優しい方かな。酷い時、呼ばれても行かないとかあるしね』

と言って肩をすくめた。