目を向けた先で、
柚杞と楓さんの間にあった距離は、ゼロになった。
まるで引き寄せられるみたいに、まるで当たり前のように、お互いの腕がお互いの背中に回る。
ゼロになる直前、
初めてみた楓さんは声の通りの人だった。
綺麗なブラウンの髪。
透き通った白い肌。
涙で濡れた大きな目。
震える薄い肩。
誰が見たって綺麗な人。
誰が見たって思う。
柚杞の隣が似合う人だって。
そんな彼女を抱きしめる柚杞が、
あの雨の日のように、
苦しそうな顔で辛そうな表情で彼女を抱きしめる柚杞が
まるで初めて会った人のように見えた。
『…楓、
……俺いるから、
…お前の側にいる』

