電話を切ると、子供達が、それぞれ帰った来て、

 「この子だれ?」
と信子をさして何度も聞く。

 「この子は、信子ちゃんよ。
 お母さんが、病気だから、うちで遊んであげてね。」
と言う事にした。 信子の方も

 「昨日はね、早苗おばちゃんの家にいたの。」
と話をつなげてくれた。

 「その前はどこにいたの?」
と探りを入れると

 「え~っと、
 銀座のおばあちゃんの家とその前は、
 由美子おばちゃんの家で、その前は・・・。」
と 知らない名前が、出て来た。 
つまり、大人の都合でいろいろと
泊まり歩いていることが、想像できた。

 それから、1時間もしないうちに信太郎が帰って来た。
何か理由をつけて、早退したのだろう。 
しかし慌てて帰って来ても何も事態は変わらなかった。