彼ら三人がその場から姿を消した少しあと、ウィン達と似たようなボロい服をまとった三十代の男二人が現れる。
 
 重たそうな袋を二つずつそれぞれ抱え、鋭く暗い瞳をあたりに向けて歩いていた。
 
 
 
「……なんか、うるせー雑音が聞こえてなかったか?」
 
 
 そのうち、一番体格のいい男が機嫌悪そうに言う。
 
 
「気にするな。どーせ、フレイらだろ」
 
 
 もう片方が、その男に適当なことを言った。
 
 二人とも頬はこけ、髪はボサボサだ。
 
 だが、二番目に発言した男は疲れ果て、すべてがどうでもよさそうな雰囲気を醸し出している。
 
 
「いや、あいつらとは、ちぃとばかし違う声だったぜ。無駄にキンキン声を出すやつぁ、ここにはいねーはずだ」
 
「どーせ、ご主人様が新しく何か買ったかしたんだろ。オレ達には関係ないこった」
 
 
 体格のいい男はあたりを油断なく睨みつけるが、もう一人の男はどうでもよさそうに言った。
 
 そして、睨みつけているため相方より少し遅れてしまった男は、あたりを物色するのを止めやや早歩きで追いつこうとする。
 
 
 
「おらぁ、まーたあいつらに何かヘマやってオレ達にもバツがくるかもしれねーとだなぁ」
 
 
 体格のいい男は、ボソボソと少しあきらめ悪くつぶやきながら無気力な男に追いついた。
 
 それを、どうでもよさそうに聞き流しながら、無気力な男は袋を抱え直し歩き続けける。
 
 
 そうして、二人もまたこの場を去っていった。
 
 ただ、体格のいい男は、一度最悪の目つきで先ほどまでウィン達がいた場所を睨みつけていくのを、忘れずに。