北に位置するアイスラ。
そこは、水の精霊の力を借りることができる者達――水の民が暮らす土地。
そこより、ほんの少し南にある山々の中。
中央に位置する商業国家、ライストに属する場所。
そこに、隠れるようにして建つ屋敷があった。
「兄さん!」
山の木々に隠された屋敷の、外の丸太置場の方へ一人の少女・ウィンが駆け寄る。
折れそうだと思えるほど、細い手足と胴体。
綺麗な若草色の長い髪を邪魔にならないようみつあみにし、それを揺らしながら風のような速さで走っている。
まだ幼さが残る十四歳くらいの年ごろで、容姿は整っており、とても可愛らしい。
彼女は、ライストから西の、豊かな大地が広がるフーガ地方の住人の血を、濃くひいているように見受けられる。
美男美女が多いフーガの者らしく、まだ幼いまでも華麗さが際立っていた。
「どした?」
斧を手に丸太を割って薪を作っていた青年・フレイが、駆け寄ってくるウィンに訊ねる。
額に張りついた赤毛を汗ごとぬぐい、重そうな斧を軽々と担ぐ。
十八歳くらいの年齢で、ほどよく筋肉を付けたたくましそうな青年だ。
そこは、水の精霊の力を借りることができる者達――水の民が暮らす土地。
そこより、ほんの少し南にある山々の中。
中央に位置する商業国家、ライストに属する場所。
そこに、隠れるようにして建つ屋敷があった。
「兄さん!」
山の木々に隠された屋敷の、外の丸太置場の方へ一人の少女・ウィンが駆け寄る。
折れそうだと思えるほど、細い手足と胴体。
綺麗な若草色の長い髪を邪魔にならないようみつあみにし、それを揺らしながら風のような速さで走っている。
まだ幼さが残る十四歳くらいの年ごろで、容姿は整っており、とても可愛らしい。
彼女は、ライストから西の、豊かな大地が広がるフーガ地方の住人の血を、濃くひいているように見受けられる。
美男美女が多いフーガの者らしく、まだ幼いまでも華麗さが際立っていた。
「どした?」
斧を手に丸太を割って薪を作っていた青年・フレイが、駆け寄ってくるウィンに訊ねる。
額に張りついた赤毛を汗ごとぬぐい、重そうな斧を軽々と担ぐ。
十八歳くらいの年齢で、ほどよく筋肉を付けたたくましそうな青年だ。