大人のなり方

「時間、大丈夫?」

「あ・・・はい。」

「じゃあ、いこうか。」



二人はならんで、駅に向かって歩き出した。


「最寄り駅、どこ?」

「I駅です。」


立野君はすこしクビをかしげた。

「んー、乗り換えあるっけ?」

「あ、はい、でもK駅までで大丈夫です」


立野君は、立ち止まって

一度まどかを見つめると、またすぐに

並んで歩き出した。


「ねえ、迷惑かな?」

「え?」

「K駅までで、かえってほしいの?」


「そんなっ!迷惑とかじゃないです!!」

「それに。なんで敬語なの?

さっきまで普通に話してたのに。」


「あっ/////なんか、緊張、して」

「じゃあ。」

今度は、立ち止まってしまったまどかに

笑顔で話しかける。


「俺が、最寄り駅まで送りたいの、

あと、敬語も禁止だからね。」

「は、はい・・・あ、うん。」


ちがう。

ここで、素直にならなきゃ。

「あの・・、あ、ありがとう!」


彼はびっくりしたようにまどかをみると

笑顔で答えた。

「どういたしまして!」