休み時間の喧騒に満ちた廊下を颯爽と歩く。

窓越しに差し込む初夏の陽光が、まるで私を祝福するかのように照らしている。

校庭では、いよいよ本格的に蝉の大合唱が始まっていた。


今日という一日は、まだ始まったばかり。

まだ一時限が終わったに過ぎない。


私の授業を心待ちにしている生徒たちがいる。

私に導かれたいと願う生徒たちがいる。

誰かに必要とされるかぎり、私は聖職者の道を歩み続けるのよ――。


さて、次の授業はB組ね。

気を引き締めていかなくちゃ。


今日あたり、犯されるかもしれない。



(了)