ふしだらエデュケーション

トイレに行って何をするかは訊かない……。

わかってはいるけれど、それは訊かないであげるわ菊間君。

仕方がないわよ……男の生理だもの。

処理しなければ授業にも集中できないわよね。

大丈夫、先生ちゃんと理解してるから。

そういったことに関してはね、先生は良き理解者でありたいと思ってる。


「あの、先生……」


生徒たちの心中を察してあげることは、教師の職分だと言えるわ。

生徒たちの声にならない声を、悲痛な心の叫びを、ちゃんと聞き取ってあげなくっちゃ!

いいのよ、菊間君。

先生は決してあなたを責めたりなんかしない。

ううん、責められるわけがないわ。

だって、菊間君がそうなっちゃったのは先生の責任なんだもの。


「漏れちゃうよ、先生……」


教室という密閉された空間で、濃厚なフェロモンを放出しているのは誰あろう、この私なのだから……。

いいわ、存分に出してきなさい。

溜まったものを一滴残さず搾り出してきなさい。

でもね菊間君、これだけは忘れないで。

それは一時しのぎに過ぎないのよ。

事を終えた時、そこには得も言われぬ虚しさしか残らなくってよ。


「……菊間君」

「は、はい」

「行ってらっしゃい。……なるべく手短に済ませるのよ」

「はい、行ってきます」


足早に教室を出て行く彼に、心の中でエールを送る。


それでいいのよ、菊間君。

たとえ授業中であれ、自分から限界を訴え出たことは評価に値するわ。

懸命な判断よ。

時として、抑圧された性は悲劇をもたらすことだってあるのだから。