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「おいおい……何だ、あれ」


永倉の呟きに藤堂と斎藤もそちらに視線を向ける。


「うわ…」

「………」


三人の視線の先には、打撲傷など身体にたくさんの傷をつけながらも、瞳を輝かせて熱心に優真の話を聞いている隊士達がいた。

稽古が終わったのだろう、隊士らの稽古着はぐっしょりと汗を染み込ませている。


「隊士らの、あの顔。異常だな」


斎藤の言葉に永倉と藤堂は大きく頷く。


「いつもは、疲れきった表情で『うー』とか『あー』とか何かしら言ってるもんね」

「総司の時なんか酷かったぜ?『もう稽古したくありません!』とか言ってる奴いたし」

「あー…総司の稽古は荒っぽいもんね…」


藤堂は苦笑いをしながら思い出したように言った。



───と、そこで辺りががやがやと騒がしくなり、隊士らの稽古が完全に終わったことを知らせる。

三人の方へと歩きながら、何か興奮したように口々に話す隊士の内、二人を藤堂は呼び止めた。


「あっ、藤堂副長助勤!」

「お疲れ様〜。っで、何でそんなに興奮してるわけ?」

「いや〜、もう、立花副長助勤が凄いんっすよ!」

「優真が?」

「そうっす。教え方も丁寧だし、分かりやすいし、自分では判らなかった癖とかをすぐ気付いて教えてくれたり……とにかく凄いんっすよ!」


熱く語る隊士に藤堂と永倉は「へぇ〜」と頷き、斎藤は何も反応を示さなかった。


「あっ…、そういえば立花副長助勤ってふわっといい匂いしたよな〜」

「そうそう!男なのに汗臭くないって、なんかいいよな……皆、女みたいだって言ってたし」


その言葉に藤堂と永倉はびくっと表情を強張らせる。