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「はあ…。何で私も?」


集合場所である中庭で他の人を待ちながら優真は呟いた。


「きっと土方君のことだから何か考えがあってのことだと思うよ」

「……はぁー…。山南さん、私もう戻りたい、面倒、疲れる」

「じゃあ、またこの前の夜の様に斎藤君におんぶしてもらうかい?」

「──っ山南さん!」


優真は冗談じゃないっと山南をひと睨みした。




“この前の夜”とは優真が泥酔して帰宅した夜のこと。

あの時意識のなかった優真を屯所まで運んできたのは他でもない斎藤だった。

斎藤をよく知っている者はこれには驚いた。

あの、任務以外で他人の為に自ら動くことが滅多にない斎藤が、わざわざ仲の良くない優真を迎えに行き、尚且つおんぶして帰ってきたのだから。





もう春は終わってしまったけれど、もしかしたら斎藤君には近い内に再び訪れるのかもしれないね。


山南は、浮いた話などない何時も無表情の斎藤のこれからを想像しながら独り微笑んだ。