うん?と優真は、沖田が目を向けている方へ視線を移すと、廊下の奥の方から歩いてくる何時もの無表情面をした斎藤の姿が視界に入った。


あの日、深夜に井戸で会話をした時から、気まずさからかなるべく斎藤と接触をしないようにしていた優真は斎藤を目にした瞬間足を一歩踏み出す。



「じゃあ、そろそろ行くから」

「えっ?…ちょっ、待ってくださいー!」



沖田の静止の声も虚しく、優真はそそくさとその場を離れていった。





───────





「どうしたんだ、沖田さん」


沖田の側まで来た斎藤はポカンとしている沖田を見て、怪訝そうに声を掛けた。

そんな斎藤を沖田はハッとして一瞥すると、うーんと唸りながら頬をポリポリと掻く。


「斎藤さんって優真さんと何かありました?」


沖田にはどう見ても先程優真がとった行動が斎藤を避けている感じに見えたのだ。


「…」


そんな沖田の問いに一瞬眉をピクッと動かした斎藤だがその事に対して口を開く事はなく、結局沖田の頭には疑問だけが残った。





二人に何があったんでしょう?
気になりますねぇ。

そんな事を思いながら沖田は夕餉を食べに大広間へと向かうのだった。