「冗談はよしてくださいよ。男が可愛いと言われても嬉しくありません」
可愛いと言うよりむしろ綺麗と言う言葉のほうが合う容貌の優真は芹沢に淡々と言ってのけた。女にだらしがなく狂暴な芹沢を嫌悪していた優真は早く会話を終わらせたかった。
「冗談などではない。儂は可愛いと思ったから言ったまでだ。…………そう、…まるで女子の様にな…」
芹沢はそう言って上から下までなめる様に優真を見てきた。
いやらしい目付きで見てくるな、気持ち悪い。
芹沢は私が女だと思ってこんな事を言ってきてる。
女に関しての芹沢の洞察力は厄介。
だけど…自ら暴露するなんて馬鹿はしないから。
その時緩やかな風に乗ってある香りが鼻腔を刺激し、優真はこれで会話を終わらせようと芹沢との攻防線に終止符を打とうとした。
「あぁ。お酒を呑まれてきたのですね。だからその様な戯言を…。かなり呑まれたみたいですし早くお戻りになったほうがよろしいですよ」
「…まぁ、よかろう。これから新見達とまだ呑むのでな。お主もどうだ?」
「折角ですが遠慮させて頂きます。これから出掛けるのでまたの機会に」
必ず次は呑ませるからな、と今日は機嫌が良いのだろう芹沢はあっさりそう言うと芹沢一派はぞろぞろと八木邸へ入っていった。