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「土方さん、いい加減出てきたらどうだ?」




斎藤が暗い廊下に声を投げ掛けるとスーと土方が姿を現した。




「ばれていたか」

「…何故相次を此処に置く。それも女人禁制の此処に」

「それもばれてたのか。なーに、女でも気にする事はねえ。相次は役に立つ……何より仲間想いだ」



それに信頼も出来る、と言って斎藤の鋭い眼差しを気にする事なく土方はその場を離れて行った。



「…」



その場に取り残された斎藤は優真がいるであろう方向を見つめる。土方があんなに穏やかな表情で話すのを見たことがない。

斎藤はこの時初めて立花優真という人物に興味を持った。土方にあのような表情をさせ、女であるのに剣の腕もたち、冷たい印象を受ける女。



「立花優真か…」



斎藤の口から自然と出たその小さな呟きは誰にも訊かれる事なく暗い闇へと消えていった。