「ぶつかっといてその態度はないだろ!」

「こいつさっきから何も喋らないな」

「そうだ…調度この刀を試してみたかったんだよなぁ…」

「あぁ…先日新調した奴か」





薄暗い脇道に男二人。
ニヤニヤしながら目の前で蹲っている十四、五歳程の少年を見ている。

優真はその状況を木陰に隠れて観察していた。



ヤバイ…辻斬りだ。
早く助けないとあの子、危ない。

さて、どうしようか…



自身の腰にある刀に目をやる。

まだ人を斬った事がない優真。
今迄はこういう状況に陥っても上手く逃れてきた。

でもそれは優真一人だったから。今はあの子の命が懸かっている。

人を斬るのは避けたい。

でも…



「すまないなぁ、童よ」



その声を訊いた優真はハッと我に返る。

一人の男が少年に向かって白刄を振り上げようとしていた。少年は微動だにしない。



──なっ!