「ふぅ…」



落ち着く…
最近周りを見渡せば人ばっかりで疲れる…



屯所の近くの入り組んだ路地の先にある小さな丘に、優真は来ていた。此処は最近見付けたお気に入りの場所。疲れた時や一人になりたい時によく来る。

もうすぐ見頃を迎えそうな大きな桜の木に凭れて、目の前に広がる京の景色を眺める。暖かい風が頬を掠めるのが何とも心地好かった。





先日、隊士募集を行った壬生浪士組は一気に屯所内の人口密度が上がり、何処を行っても人がいる。

女という事で一人部屋を貰っているが、藤堂や沖田が勝手に入ってきたりするので安らげない。



早く慣れなきゃなぁ…
それに近藤さん達以外に女ってバレないように気を付けないといけないし…

うーん…大丈夫か?自分…。



大勢でわいわい騒ぐ事をあまりしないタイプの優真は、慣れていないお祭りの様な五月蝿さの屯所に精神的に疲れ果てていた。



「…はぁ…」



自然と溜め息が洩れる。
暫しの憩いの時間も終わり、そろそろ帰るかと重たい腰を上げてその場を後にした。