道場の方からドシドシと床を鳴らしながら此方に向かって歩いてくる男。怒りで顔を歪ませていても大人の色気が滲み出ている土方歳三だ。


「ど、どうしたんっすか?」


「どうしたもこうしたもじゃねぇ!山本が稽古で怪我しやがった!」


原田が恐る恐る尋ねると、土方は頭を手でガシガシと掻きながら言い放った。




怪我?
怒る事じゃないよ…。


「土方さん、怪我くらいで怒る必要ないんじゃ…寧ろ心配した方がいいと思う」


優真はそう言って土方を一瞥した。


「心配?ハッ、こんな大事な時期に怪我した奴が悪いんだよ!」


「優真。実はな〜山本はさっき話した公方様の警護に参加する一人だ」


「と言う事は…山本さんは怪我したから参加できない?」


優真の言葉にそうだと困惑顔で頷いた原田。




「くそっ、今更人数変更なんてできねぇ」


土方はそう言って地団駄を踏んだ。何時もは綺麗に梳かれている長髪が今はボサボサになっている。






「あのー、それ私が代りに参加したらどう?」