季節は冬だと言うのに暖かく、太陽が意気揚々と照っている。そんな日の昼下がりに優真は縁側で日向ぼっこをしていた。





──いつの間にか幕末に来て八ヶ月。

この日は数日前に新年を迎えたばかりだった。


「十九歳…」


しみじみと実感したように呟く。



優真は十九歳になっていた。

この時代では新年を迎えると一つ歳をとる。現代のように個々の生まれた日に年齢を重ねると言う習慣はないのだ。



もしタイムスリップをしていなかったら、今頃は受験の追い込みの時期か…。




最初は現代に帰る方法を探していた優真も二ヶ月、三ヶ月と経つ内に諦めの気持ちが大きくなり今では探す事すらしなくなっていた。


勿論誰にも“未来から来ました”なんて言っていない。此処では家族も家もない天涯孤独の女子となっている。


時折、優真は家族や友達の事を思い出してはどこか胸にポッカリと穴が空いた様な虚無感を覚えるという事があった。

だが最近ではそういう事も無くなっていた。それはここまでくれば自分が現代へ帰れない事に嫌でも気付いた優真が、この時代で生きていく覚悟を決めたから。

試衛館の者が皆温かい人達ばかりで居心地がよかったのもあるが。