桜の木の誓い

室内の空気がにわかに張り詰めたものへと変わった。土方の射るような瞳がゆらりと真っ直ぐに優真へと向けられる。

それに対し、自然と優真の躯は強ばった。


「なぁ、一つお前に訊きたい…」


そこで土方の口元が言い淀むように数回僅かに開閉したのを優真は見逃さなかった。


何を聞こうとしているのだろう。

そんなに言いづらい事?

何時もの土方さんなら、聞いてるこっちが耳を塞ぎたくなるようなこともはっきりと清々しいくらいに言ってくるのに。


未だ目の前で口をパクパクさせている土方を優真は怪訝そうに見やる。

そして不謹慎ながらも、この雰囲気に似つかわしくない事が頭の中にぽっと浮かんでしまった。


 ――まるで金魚みたい、だと。


土方と可愛らしい金魚。

どう考えても結びつかない組み合わせが何とも可笑しくツボにはまってしまった優真は、口元が上がるのを必死に抑えようとして土方から視線を外した。


(ん…ぷっ…土方さんなんて裏で隊士たちから鬼とか言われてるのに…ぷっ…)


そのせいか力んでいた躯はふっと和らぎ、幾分か土方の重い空気にも慣れてきたかと思った時だ。


「佐々木の死―――お前、何を隠してる」


優真にとっては残酷とも言える言葉が部屋に響いた。