「先生! おはようございます!」
「うん…おはよう」
焼き魚の身を取るのに箸を細かく動かしていた優真は、一旦手を止め聞き慣れた声に挨拶をし返すと、その声の主――信太郎は一瞬目を見開いたかと思うと大きな瞳に涙を浮かべてぷるぷると肩を震わせ始めた。
その様子に優真はぎょっとして不覚にも動揺してしまう。
「な、なに…?」
「――ぜんぜ〜い!」
「んぐッ」
終いには涙を流してこちらのことも考えずに飛びついてきた信太郎に、飲み込みかけていたご飯が口から出そうになるのを優真はなんとか食い止めた。
「うっわ! 優真、きたねぇーよ!」
……どうやら何粒かは阻止できなかったようだ。
永倉が、自分の卵焼きの上に見事不時着したご飯粒のことでぎゃーぎゃー喚いているのも一瞥しただけで無視し、優真は自身に抱きついて離れない人物に目をやる。
「信太郎…どうしたの?」
「うぅ〜も゛とのぜんぜいにもどっだー!」
「は?」
腰に巻きつく腕を離そうともがくもそれは頑なに離れず。周りの視線が非常に痛い。……そしてとうとう諦めてしまった優真はぽんぽんと信太郎の背中を叩いてまずは落ち着かせようと試みる。
「せんぜいのばかーー! ずっごく心配したんでずから"、ズッ、うう…」
だが、それは信太郎を更に刺激しただけだった。
自分が信太郎を心配させていた理由はだいたい察しがつくが、こうも激しく泣かれてはどうしたものか……。
(誰もこの状況についていけてないよ…)
その時、途方に暮れる優真に願ってもない意外な助っ人がずかずかと現れた。

