桜の木の誓い

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朝焼けの空をどこか厭わしげに眺める。
見慣れている筈のその光景をこんな風に感じたのは初めてだった。


「…っ…」


頭の中でしつこくちらつく泣き顔に、僅かに顔を顰め額に手をやる。 しかし、そんなことをしてもそれは消えるわけでもなく、むしろ根強く残ってゆくような気がしてならない。


(何故こんなにも離れない……)


どくりと心の臓が脈打つ。


半刻程前に優真と共に帰宅した時から続くこの不可思議な現象に斎藤は困惑の色を隠せない。

らしからぬ行動をとってしまったせいかとその時のことを思い出してしまい、羞恥の念にかられた。

いやいやあれは仕方なかったのだと無理矢理にでも思い込みたいが、それはそれで寂しいような物足りないような…そんな気がする。


「ふあぁぁ…相変わらずおめぇは朝はえーな〜」


盛大な欠伸が聞こえ視線をやると、そこには何度目かの欠伸をする原田が緩く乱れた衿に片手を入れぼりぼりと掻きながら立っていた。