「がっこう?」


沖田は優真の学校という言葉にキョトンとした表情を見せた。


「あの、私は学校で倒れていたと思うんですけど」


ちゃんと聞き取れなかったのかと思い、再度確認するように優真は言った。


「がっこうとやらが何かは知りませんが、貴方はこの近くの人が通らないような道外れに倒れていましたよ?」

「…は?」


思わず声を上げてしまった。

先程の沖田の言葉が脳内で反芻される。


話からして、どうも自分は学校の中庭に倒れていたわけじゃなさそうだ。 それに加え…学校を、知らない? 何をおかしなことを言っているんだ、この人は。


こんな時につまらない冗談を言う沖田の神経を疑う。


しかし、優真はとんだ人に助けられたと思う反面、自分は助けられた側なので何も言うことはできない。 寧ろ、助けてもらったのにそれは失礼であり、人としてどうかと思う。

優真は気を取り直して出来る限りの表情を繕うと、再び沖田の方を向いた。




…が、直ぐにその表情は崩される事になる。