桜の木の誓い

優真の振り返った表情に、山崎は酷く動揺した。

何時もの面影はなく……。まるで幼子の様な、尋常でない怯え方をしている。



「…すす、む?」

「どうしたんや、優真……様子が…」

「…ぁ…あぐりさんが……佐々木、っ…」

「おい、落ち着け」



(なんや、なにがあったんや……。あの優真がこないな弱々しい声だしよって……それにこの動揺の仕方、ありえへん。)


取り敢えず落ち着かせようと、手を両手でぎゅっと包み込む様に握ってやる。

そのお陰か判らないが、次第に落ち着きを取り戻してきたらしい優真は、何時もの顔付きへと戻っていった。

安堵から山崎は心の中で溜息を洩らす。


──が、それも束の間の出来事で。
この後山崎は優真の口から驚くべき事実を知る事となる。








「…これは惨いな」


佐々木の亡骸は見るも無惨な状態だった。目は閉じられておらず、袴は血だらけで相当な出血をしたのか佐々木の周りには血溜りができていた。


(優真の話を聞いて此処へ来てみたものの……土方副長に早よう知らせんといかんな、これは。)


ちらりと横目で見ると、優真は隅の方で何処を見るのでもなく突っ立っていた。

その様子に少し不安が掠めたが、土方にこの事を報告する方が先だ。

山崎は優真にこの場を頼むと、屯所へと急いだ。