東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~

「フフッ。ソレ、なんか分かる気がする♪」

「もう勉強なんかしたくねぇ、…ってか、なんもする気しねぇ。このまま化石になって屋上に張り付いてしまいたいよ」

なんか雰囲気的に、仕事帰りに駅の高架下のおでんの屋台で、お酒飲んでクダまいている中年おやじみたいなカンジだった。

「ロム、受験勉強でよっぽど疲れたんだね?」

「自分の偏差値以上の志望校を目指してたんだ。そりゃあ、疲れるさ」

「ロムはどこの大学に行こうとしてたの?」

「関東外語大(カントウガイゴダイ)」

関東外語大とは“関東外国語大学”のこと。

「関東外語大に行く、ってことはロムも外国語に興味があった、ってコト?」

「いや。お菊ちゃんが関東外語大に行く、って言うから…」

「そっか、ロムはそんなにお菊のことが好きだったんだね」

高校を卒業しても、同じ大学でいっしょにいられるように自分の偏差値以上の大学を目指してた、ってことか。


「あ~、もぅ、ヤメタ、ヤメタ。無理な勉強も、無謀な恋も、みんなやァ~めた」

そう言って、青空に“ハァ~…”と大きなため息をつく彼。