東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~


でも放課後、下校するときくらいはあの頃みたいにいっしょに帰りたい。

あとになって思い出すと、あの頃は、どうでもいいような取りとめのない話を飽きもせず何度も何度も繰り返しながら、そしてアチコチ道草しながら、いっしょに帰ってたもんだけど、今日は違う。

今日のテーマは“ロムのカノジョが誰なのか?” 答を教えてもらえるまでは、この世の果てまでだってついていく覚悟だ。


「ごめん…」

なぜかあたしから目を逸らす彼。

「え? なんか用事でもあるの?」

「塾…」

「そっか…ロムも塾なんかに行くようになったんだ……ま、高校生ともなれば学校帰りの塾通いは当たり前か…」


ニッポンは世界に向かって“二度と戦争はしない”なんて言ってるクセして、子供たちには受験戦争を強要させてる国だもんね。


「じゃ、あした、いっしょに帰ろ?」

「ごめん…あしたも塾なんだ……」

「あさっては?」

「悪いけど…」