東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~


「ね、ねぇ……ろ、ロムのカノジョって……だ、誰っ…?」

知りたいような、知りたくないような、知らないほうがいいような…。

でも!

覚悟を決めて、恐る恐る彼に訊いてみる。


だけど…、


キーン、コーン、カーン、コーン…♪


そのときタイミング悪く鳴り響いたチャイムの音が、あたしの声をかき消した。

「ま、まだカノジョじゃないよ……それより授業がはじまるよ」

そう言って教室に入ろうとしたロムは、手にしていたギフトのことを思い出したように…、

「あ、ありがとうな、コレ…家に持って帰って大事に飾るから」

…って、まるで取って付けたように言った。

「うん…」

ウソつき。いらないものを大事に飾ったりするワケないじゃん。

化石に興味がなくなったロムにとって新しい興味の対象は、今やその“カノジョ”のほうに移ってしまった、ってことか……。