東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~


すると彼は、あたしと目を合わせないで、こう言った…、


「ごめん……なんてゆーか俺……その……もう恐竜にも化石にも興味なくて……」


…って。


「えっ…!?」

あたしは絶句した。


そのとき、7年前の遠足の帰り道、目を輝かせながら…、

「将来はエライ考古学者になって化石に自分の名前を付けるんだ」

…って言ってたロムとの思い出が、まるでクリスタルで出来た精密な置き物が床に落下してパリーンと砕け散ったみたいに、あたしの中で音を立てて崩れたような気がした。


「そっか……そーだったんだ……」

どうりで…。

どうりでアンモナイトの化石をもらっても全然喜ばなかったんだ。

そりゃ、そーだよね。欲しくもないものもらっても嬉しくないよね……。