東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~

「…分かったよ」

彼はちょっと渋々という感じだったけど、ラッピングを開いて、中の箱のフタを開けた。

「どぅ? 嬉しい?」

「え…あ、うん……」

飛び上がって喜んでくれると思ったのに、全然リアクションが悪かった。

「コレ、わざわざユタ州まで行って手に入れた“アンモナイト(※恐竜時代のタコみたいな生物で巻貝の中に入っている)の化石”だよ♪ ロムのためにイチバン貝のカタチが綺麗なのを選んだんだァ♪」

「そっか…あ、ありがと……」

あんまし嬉しそうな顔をしていない。

「ひょっとして気に入らなかった…? あたしは貝殻のデザインが綺麗だからアンモナイトにしたんだけど、ロムはヤッパ男のコだから“恐竜”の化石のほうが良かったかな…?」

「いや、そんなことないよ…嬉しいよ……日本じゃ、こんなの手に入らないし……」

言ってることと表情がチグハグだった。

「小4のとき“今度、化石の発掘に行くとき、いっしょに連れてって”って約束したよね? あのあと、そのままになってたけど、あたしもニッポンに帰ってきたことだし、今度、あの約束を果たしてもらってもいい?」

うつむき気味の彼の目を覗き込むようにして言うあたし。