東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~


心の準備もできてないのにイキナリあたしにふらないでよ。

「あっ、その声、アイなの?」

今、あたしが言った「えっ!?」が聞こえていたみたい。

「裏切り者のあたしのこと、アイが恨んでるのはよく分かるよ。でもお願いだから、ちょっとだけ、あたしの話を聞いてくれないかな?」

「………」

ハッキリ言って返事をするのもイヤだった。

「お願いっ」

「………」

それにその声も、もう二度と聞きたくなかった。

「お願いだから、あたしの話を聞いてっ」

「………」

だけど、実際、その声を聞くと、まだ頭の片隅に彼女が友達だったときの記憶が残っているのか、無視をすることが辛くて辛くてしかたがないあたしがいる。

「あたしのこと、恨んだままでいいし、許してほしいなんて言わないから、ちゃんと真実を知っておいてほしいのっ」


「真実って…」