東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~

「冗談じゃない、って。あたし、実は“不治の病”ってヤツにかかってるんだ。それで余命は、もうほとんど残ってない」

「俺がさっきホスピスの話したから、そーいうウソついてんじゃねぇの?」

「ウソだと思うんなら信じなくていいよ。その代わり、死んだら化けて出るからね。あなたが夜トイレに行くときに出てビックリさせてやるんだ。そしたら、もう怖くて夜トイレにひとりで行けなくなっちゃうよ」

「俺は小学生じゃないから、真夜中でもちゃんとひとりでトイレに行けますよ~だ!」

バカにしたみたいな言い方がムカついた。

あたしの言うこと信じないっていうんだったら、あたしにも考えがあるよ!



「きゃあーーーーっ!!」



「…って、なに!?」

突然の悲鳴に彼はもちろん、女天才美容師や他の美容院のヒトたち、それにお客さんたちまで、全員一斉にあたしに注目した。



「このヒト、あたしの胸、触りましたーっ!」



「お、お前、なに言ってっ…!?」