“誰がこんなことっ…”
泣きそうになりながら、上を見上げると、吹き抜けになっている上の階のフロアに、一瞬、あたしのほうを見ている女の顔が見えた。
あたしと同じくらいの年頃の女のコが慌てて顔を引っ込めるのが一瞬見えたんだ。
そのときの顔はほんの一瞬だったけど…、
“やばっ。顔、見られたかも……”
…っていうような顔をしていた。
あたしはすぐさまケータイの電話帳からチーコこと“小菅明子”を探し出してコールした。
もし、チーコが上からあたしに向かってガムを吐いたんだとしたら、自分のしたことを考えれば、あたしからの電話なんか無視して出ない可能性のほうが高いと思った。
だけど……
だけど意外にも、彼女は電話に出た。
「もしもしィ…」
でも、その口調がいかにも、うっとおしそうなソレだった。
「もしもし、チーコ? あたし、アイだけど」


