東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~


「あ、あたし、今……チョー泣けるケータイ小説を読んでたんだ……」

「なんだ、小説読んで泣いてたのか。あんまりパパをビックリさせるなよ」

「ご、ごめん…」

パタ、パタ、パタ…

廊下を歩くパパのスリッパの音がだんだん小さくなっていく。


パパがいなくなってしまう……、


なんだかソレがものすごく淋しく感じられて、あたしは…、

「パパぁ!」

…ってドアを開けるなり、パパの大きな背中に飛び付いて、さらに泣いた。


あたしはパパの大っきな背中がダイスキだ。

さすがに今はもうしてもらってないけど、小っちゃい頃は、その大っきな背中によく“おんぶ”をしてもらっていたもんだ。

パパの大っきな背中には、たとえどんなにheavy(ヘビー)なことが起きても、全部背負ってくれそうな安心感があった。