…と、そこへチーコがダダダッと教室に駆け込んできた。
「あ、アイ、おはよっ」
「good morninng♪」
ショートカットの後頭部の髪が、ひどい寝グセでピーンと立っている。寝坊でもして、よほど慌てて学校に来たんだろうと思う。
「アレっ…?」
いま教室で起こったことを何も知らない彼女は、ロム以外のクラスの男子全員がニヤついているという、ある種、異常な光景に違和感を感じたみたい。
「ね、ねぇ、なんかあったの…?」
「ううん、なんでも♪」
このとき、あたしは上機嫌だった。
これなら、かたくななロムのココロにも揺さぶりをかけられるにちがいない、って自信があったからだ。
それにうちのクラスのモテないクンたちのためにやった善意の行動に対しても、完全に自己満足をしていたし―――――
× × ×


