東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~

目の前で他の男とイチャイチャしてるのを見せつけてやれば、さすがにjealousy(ジェラシー)を感じるに違いないと思ったんだ。

つまりこれは、最後の最後まで絶対に諦めないという信念のもと、キクチ・ヨーコからロムのハートを取り戻すために強行したtactics(タクティクス=策略)だ。


「ホラ、あんたらにもあげるよ♪」

あたしはアナンをはじめギャラリーの男子たちにも用意していた本命チョコを“ひょい”っと投げて渡すと、続けて残りのチョコをロム以外のクラスの男子全員に一コずつ配って歩いた。


「もらってない人、いないよね?」

あたしは教壇から、ぐるっと教室の全体を見回した。

実質的にはタダの義理チョコなんだけど、クラスの男子たちはみんなまんざらでもなさそうな顔でニコニコしていた。

「よかった、よかった♪ いいことすると気分がいいよ♪」

ぶっちゃけ、うちのクラスの男子の中で、チョコをもらえるヒトなんて何人もいないと思う。そんなモテないクンたちに、義理とはいえ、チョコをめぐんであげたんだし、われながらいいことしたと思うよ♪

ま、そーいう意味では、ある種のボランティアとかチャリティみたいなものかなァ~♪