東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~



「あたしの気持ち受け取って♪ ハイ、本命チョコ♪」


ちゃんと“王様のショコラ”で買ってきたチョコだから、スーパーで買った安物のチョコとはひと味もふた味も違うはず。


「ほ、本命チョコ?」

目を丸くして彼が見つめる。


「そっ、本命♪ あたし、うちのクラスの男子、みぃ~んなダイスキだから、あたしがあげるチョコは全部ぜぇ~んぶ本命チョコなんだよ♪」

「あのな…みんなにあげるんだったら、ソレってタダの義理チョコじゃね…?」

ボヤくように言いながら、それでもあたしの手からチョコを受け取る彼。

「そんなことないよ♪ あたし、デカ島のことダイスキだよ♪」

そう言って、彼のデカイ体に抱きついてハグをするあたし。

そのままの姿勢でチラッとロムのほうを見ると、慌てたようにロムが目を逸らしてうつむいた。


これはロムに対する明らかな当てつけだった。