「あ、愛ちゃんの気持ち……」
「そう、あたしの気持ちだから♪」
「…!」
どっちかっていうとクラスのお笑い担当として、ふざけたことばかり言っている彼が、今日は珍しく真面目な顔をしている。
「ヒュ~、ヒュ~♪」
まわりで見ていたアナンをはじめとする数人の男子たちがからかって言う。
でも、あたしはみんなに見られていても全然ヘーキ。恥ずかしくない。
みんなが見ている前でも堂々と彼にチョコを渡すことができる。
だって、あたしの気持ちはもうとっくに決まっているから。
自分の気持ちにウソなんてつけないから。
だって、このチョコは、
このチョコは―――


