とりあえず、コレであたしの気は治まった。

ホントとりあえず、だけど…。


だけど、このことが……、

あたしの取ったこの行動が、これから起きる出来事の引き金になるなんて、そのときのあたしには想像もできないことだった―――



      ×      ×      ×



ポチャン…

そのとき水道の蛇口から、ひとしずくの水滴が湯船のお湯の中に落ちた。


その夜、自宅マンションのおフロの湯船に浸かりながらあたしはあらためて思った…、

“ロム、あんなコのどこがいいんだろ?”

…って。


あたし、ロムがあーいうのがタイプとは思わなかった。

たしかに高級化粧品のポスターなんかでもやれそうな美人ではある。

でも美人すぎて、お人形さんみたいってゆーか、悪いけど血が通ってる感じがしない。