「このマッチに?」


「うん……
それが私の……
最後の…役目……
よかった……
あなたの幸せを願ってる……」



「俺はおまえを幸せにできた?」



素良と歩来が入ってきた。


「ありがとう……
優しくしてもらって……
愛恵ちゃんも……大きくなった……」


目を細めた。



「幸せ……
忘れないで……
幸せを祈ってる……
私たちのように
孤独な家族を作らないで…
会いに……
いって・・・・・・」




奈楠の弱い呼吸が静かになった。


機械音が



奈楠の最期を俺に告げた・・・・




俺の天使は
再び目をあけることはなかった。



雪が奈楠を永遠に隠した。
雪はやまない・・・・・
奈楠のすべてを
覆いつくすように降り続ける。




外に出て天から降ってくる
雪を顔に感じながら
俺は大声で泣いた……



これがおまえの運命なのか?



奈楠の望みどおりの
汚れない真っ白な雪は
すべてを覆い尽くして


冬は駆け足で過ぎて行った………