帰りに
陽介おじさんのところに寄った。


おじさんは
難しい顔で書類を見ていた。


「おじさん。」


「お?芳樹・・・
ちょうどよかった。」


「奈楠が少し前向きになってくれた
気がするんだ。
妊娠中だけれど
何かいい薬とかないんだろうか?」


「そのことだが・・・
血液検査がまたさらに
結果が悪い……」


おじさんの説明は
奈楠が急速に弱ってきていると
いうことだった。


「でも、気持ちも上向きになれば
変わるでしょう?」


「ん・・・まぁ・・・
そういうこともあるな。
今までは気力もなかったから
おまえに会って元気になったか?」


「思ったより
すんなり甘えてくれた。」


「そうか。
待った甲斐があったな。
子供は?無事に産まれたら愛せるか?」


「愛すよ。
奈楠の子供だよ。
きっと大丈夫……」


「簡単なことじゃないぞ。」


「うん。でも奈楠を愛してるから。」


「わかった、俺も
いい治療法を考えてみるよ。
ただ・・・」


「ただ?」


「いや…ま、雪もかなり降ってるから
気をつけて帰れよ。」



おじさんの言いたいことは
わかっていた。



外の雪はかなり積もっていた。


車が雪で埋まっていた。