「このまえはゆっくり話せなかったから」


奈楠はさらに布団にもぐり込む。


「ここは、俺の叔父さんの病院だから
安心して治療受けろ。
なにも心配するな。」


「…治療はしなくていい。」

「え?」

「治療はしないで!!」


「奈楠!!
ずいぶん我慢したんだろう?
治療もしてもらえないで……」


「それが私の運命だから」


奈楠が吐き捨てるように言った。


「そんな運命なんかじゃない!!
おまえは俺と一緒にいるのが
運命だから、またこうして
会えたんだろう?」


奈楠は何も言わない。


「俺たちは一緒にいないと
ダメなんだよ・・・・
おまえがいなくなって
わかったんだ。
俺にはおまえが必要だって…」



「…先生は…?」



「別れたよ。」


「どうして?
先生を愛してたんでしょう?
私先生にお願いしたのよ…」



「四季が手紙を見せてくれた。
その時はっきりと別れた。
俺はおまえを選んだ。
帰ってくるのを待つと…
四季はそれを理解してくれた。」


「先生は?」


「それから会っていない。
ただもうここにはいないようだ。」