「赤ちゃん?どこ?」

たどたどしい言葉が
癒してくれた。

「ここだよ。」
なぜか優しい気持ちになった。


男の子が
お腹に耳をあてた。

「赤ちゃん、赤ちゃん~
……ねてる?」

男の子が私を見上げた。


その目に
私は心臓が飛び出そうだった。


  芳樹?

どこかわからないけれど
私は男の子に芳樹の
面影を感じた。


「これ、お客さん、ご飯食べられないぞ。」

祖父が抱き上げた。

「すいませんね~」

「いいえ……」



「たっちゃんも赤ちゃんほしい。」

「たっちゃんのパパが
帰ってこないとな~
お客さんみたいに
パパとママがいて赤ちゃん
うまれるんだぞ~。」

「それまではタツキが
ママを守るんだぞ。」


「は~い!!」


「タザワ タツキはいい子だな。」


祖父は男の子に
ブチューっとキスをした。


男の子はキャッ キャッと笑う。



  タザワ…タツキ


強烈に耳に残った。