この子の存在に気付いて
私は絶望した。


自分の運命を呪った。

血はつながってなくても
父親という存在に
犯され続け


しまいには
娘という罪悪感から
逃れようと
母の名を呼ぶ


私は奈楠ではなく
有紗になった。


奈楠はほかの人を愛している
だからかえって
有紗と呼ばれたほうが
気が楽だった。



悪魔の分身が
私に巣を作った


その恐怖感で
夜も眠れなかった。


もう芳樹に会うことはないから
どうなってもいい
そう思う心と


もう本当に戻れないという
絶望感が私を襲う。


悪魔から逃げだすことも
できずに
心を持たない人形は
悪魔の言うとおり
女として扱われたり
暴力のはけ口として
扱われたり


心が体から離脱することを覚えた。


悪魔が私を乱暴に扱えば
悪魔の分身が
いなくなるかもしれない


そう思えると
すべてから解放された。


悪魔の手で
この分身にとどめをさせと


願いながら・・・・